『2025年問題』、『2040年問題』という言葉を耳にしたことはありますか?
1947〜1949年生まれのいわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となる2025年。団塊の世代の子どもにあたる「団塊ジュニア世代」が65歳を迎えて高齢者人口がピークとなると予想されている2040年。
このような高齢化に伴い医療や介護ニーズはますます高まっていきますが、私たち介護保険事業者にとっては『人材不足』が大きな懸念となるでしょう。そこで今回は、介護人材不足をテーマに外部講師を招いて実施した研修会の様子を紹介します。
介護職員の離職理由トップは「職場の人間関係」。続いて「施設の理念や運営のあり方」
介護労働安定センターの調査によると、直前職が介護関係の仕事だった介護従事者がその直前職を辞めた理由として最も多かったのは「職場の人間関係に問題があったため」(34.3%)ということがわかっています。これに続く理由としては、「法人や施設・ 事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(26.3%)、「他に良い仕事・職場があったため」 (19.9%)、「収入が少なかったため」(16.6%)などが挙げられました。
これらの結果を踏まえると、単に処遇改善だけでなく、人間関係を含め働きやすい職場環境づくりや、職員がやりがいを感じて働ける施設運営が求められていると言えるでしょう。
*引用:公益財団法人介護労働安定センター|令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について
特養やグループホームのリーダー層向けに研修会を実施
こうした中、豊中市介護保険事業者連絡会では特別養護老人ホームやグループホームなどが所属している入所サービス部会のリーダー層を対象に、『スタッフが定着する仕組みづくり ~人材育成のヒント~』と題した研修会を開催。介護コンサルティングのご経験が豊富な『けあ人財アカデミー合同会社』の代表・垣内イスズ氏を講師に迎え、職員の定着促進と人材育成について学びました。
垣内氏からは介護労働者の実態や統計、退職理由などを踏まえつつ、2025年・2040年問題へどう対応していくかについて、現場で実践できる考え方やアクションをご教授いただきました。具体的なテーマや内容は下記の通りです。
◆『職場の働きやすさ』を高めるためには?
・理念や行動指針を明確にする
・業務を効率化し、生産性をあげる
・ITツールの活用などDX化を進める
・職場のコミュニケーション改善
・賃金等の処遇改善
◆『職員の働きがい』を高めるためには?
・経営情報を開示する
・部門ごとの目標を設定する
・職員ごとの目標設定や管理
・評価基準と登用制度を整備する
・職員向けの研修
・承認欲求への配慮
・部下の褒め方・叱り方
それぞれのテーマについて実際の取り組み事例をもとに紹介いただき、大変勉強になりました。
学びを効果的に取り入れるために、まずは自施設の現状を見つめ直す
介護の現場で日々奮闘するリーダー層にとって、すぐに実践できる考え方やアクションの数々はとても参考になったようで、参加者から好評の声が多く寄せられました。とはいえ、研修で学んだ内容を現場にどう落とし込むかは、それぞれの施設の課題や状況によって異なります。
まずは自施設の現状を見つめ直し、
「うちの職場の雰囲気についてスタッフはどう感じているのだろう?」
「いまの人事評価やキャリアアップの仕組みに納得感はあるのだろうか?」
「ITツールで効率化できそうな業務はないかスタッフに聞いてみよう!」など
現場スタッフと対話しながら、自施設ならではの『強み』や『伸び代』を見つけていくことが大切ではないでしょうか?
豊中市介護保険事業者連絡会では、これからも『介護人材不足の課題』に対して出来ることから一歩ずつ取り組んでまいります。そして、取り組み事例やその成果は今後もこうして発信し、介護保険事業者の皆さんのお役に立てれば幸いです。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 豊中市介護保険事業者連絡会としても、介護保険事業者同士の連携強化や自己啓発に努めながら介護人材不足に対応していく所存です。過去には、介護コンサルティングの方を講師に招き「スタッフが定着する仕組みづくり ~人材育成のヒント~」といった研修会を開催しました。研修会の学びやその活かし方などについてはこちらの記事で発信していますので、ぜひ参考にしてみてください。 […]