前回は、『地域包括ケアシステム』における「自助」の観点から介護保険事業者にできる取り組みを考察しました。
*前回の記事はこちら:地域住民の「介護予防」のために介護保険事象者にできること
今回は、家族や地域住民が互いに助け合う「互助」に焦点を当て、介護保険事業者が地域内の互助活動をどのように支えていけるかについて考えてみたいと思います。
地域包括ケアシステムに欠かせない「互助」とは?
「互助」は、公的な制度によるサポートではなく家族や友人、近隣住民などによる「自主的な支え合い」です。自治体や市民団体の取り組み、ボランティア活動なども含まれます。
今後ますます高齢化が進み、医療・介護ニーズが増えると、介護保険(共助)や福祉事業(公助)などの公的制度によるサポートだけでは高齢者の豊かな暮らしを十分に支えることが難しくなるでしょう。そのような社会において、身近な人同士が互いに助け合って生活上の困り事を解決していく「互助」の姿勢は欠かせません。
出典:厚生労働省|地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」
専門知識や介護施設などを活用して、地域の互助活動を支えていこう
地域包括ケアシステムにおける介護保険事業者の主な役割は、介護保険制度にもとづくサービス提供(共助)です。しかし前章で触れた通り、今後の地域社会においては「互助」の取り組みがより一層重視されます。そこで私たち介護保険事業者としても、専門知識や地域ネットワークを生かして地域の互助活動を支えていく必要があるのではないでしょうか。例えば以下のような取り組みが挙げられます。
- ボランティア活動のサポート
地域住民や市民団体が行うボランティア活動をサポートする。例えば、活動の場の提供、地域福祉や介護に関する専門スキルの提供など。市民団体と連携して、地域のちょっとした困り事(高齢者の見守りや買い物代行など)をサポートする取り組みもよいでしょう。 - 地域住民が交流できる機会づくり
趣味講座や交流イベントなど地域住民が集まる機会を提供。高齢者だけでなく子どもや若者も気軽に参加できるイベントや集まれる場をつくることで、地域住民同士のつながりを深め、困った時に互いに手を差し伸べ合う関係性づくりが期待できるでしょう。当会でも地域交流の拠点づくりの一環として、介護施設の空き時間を介護保険事業者をはじめ市民団体や地域住民に有効活用してもらう『カイゴとチイキ』プロジェクトに取り組んでいます。
このように介護保険事業者が持つ専門知識や地域ネットワーク、介護施設などのリソースを活かした取り組みを通じて、高齢者をはじめ地域住民が安心して生活できる地域づくりを目指していきましょう。
豊中市介護保険事業者連絡会としても『カイゴとチイキ』プロジェクトを通して、「介護施設の空き時間を有効活用したい事業所」と「活動拠点を探している市民団体や地域住民の方々」をつなぐ橋渡しを担っていけたらと思っています。
介護施設の活用に関心のある介護保険事業者や地域の皆さまはぜひ一度「オープンミーティング」にお越しください。もっと暮らしやすい地域づくりに向けてざっくばらんお話ししましょう!
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