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介護の未来を拓く「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」とは?日々の「聴く」ケアが支える多職種連携の基盤

皆さんは、ご自身の「人生の終盤」について、誰かとじっくり話したことがありますか? 介護の現場で日々利用者様に寄り添う私たちにとって、未来の「もしも」に備えることは、特別なことではなく、日々のケアの延長線上にある大切な関わりです。

今回は、介護の未来を支える重要な概念である「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」について、その定義と介護現場における重要性、そして私たち介護職員が果たすべき役割について考えていきます。

目次

ACPの定義と介護現場での意義

「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」とは、本人が病気になった際や人生の終盤にどうしたいか、将来の心づもりを家族や医療・介護の専門職と繰り返し話し合い、共有するプロセスです。これは、単なる医療的選択だけでなく、その人の価値観や尊厳を守る意思決定を支援するものです。

豊中市では高齢化が進み、2023年時点で65歳以上の高齢化率が25.8%に達しており、2040年にはさらに高齢者の割合が増える見込みです。特に認知症のある高齢者の増加が見込まれる中、未認定の方や要支援認定を受けている方の約半数が、認知症になった場合でも自宅での生活を望んでいることが明らかになっています。

こうしたニーズに応え、主な介護者である子どもや配偶者といった家族の負担軽減のためにも、早期からのACPへの取り組みは不可欠です。介護現場において、利用者様の「もしも」に寄り添い、その人らしい人生の選択を支える上で、ACPは極めて重要な意味を持ちます。

介護職員の「聴くスキル」と多職種連携における重要な役割

ACPを進める上で最も大切なことは、利用者様お一人おひとりの「大切にしていること」や「将来の心づもり」を深く理解することです。介護職員は、利用者様と日常的に接する中で、その方の「人となり」や「思い」を丁寧に汲み取る、いわば「聴くスキル」のプロフェッショナルです。

お元気なうちから価値観を聴き取り、コミュニケーションを通じて信頼関係を築くことで、利用者様が安心してデリケートな話題も話せる環境が生まれます。日々のケアの中で利用者様の言葉の背景にある真意に耳を傾けることが、ACPの第一歩となるのです。

ACPは、医療職、介護職、その他多岐にわたる専門職が連携し、話し合いを重ねることで実現します。介護職員は利用者様から得た「将来の思い」に関する貴重な情報を多職種に共有する、「情報のハブ」としての重要な役割を担います。ケアマネジャーからACPのタイミングについて相談を受けることが多いように、介護職員の日々の関わりは多職種連携における重要な起点となり得ます。

豊中市が推進する「地域包括ケアシステム・豊中モデル」は、多様な主体との連携を不可欠としており、当会も多職種連携コミュニケーションツール「MCS(Medical Care Station)」の「虹ねっとcom」を通じて約1300人の医療介護職が連携を強化しています。介護職員の皆さんがこの連携の中で積極的に情報共有し、多職種とのグループワークに参加することは、ACP実践に不可欠です。

誰もが安心して暮らせる地域社会のために

私たち豊中市介護保険事業者連絡会は、「会釈のできる地域をつくる」という理念のもと、介護が「特別な誰か」の問題ではなく「ジブンゴト」として捉えられる社会を目指しています。

今回のACPに関するテーマも、まさにその「ジブンゴト」として捉え、行動していくべき課題です。日々利用者様の隣にいる介護職員の皆さんが、その方の「思い」に寄り添い、聴き取る姿勢こそが、ACPを推進し、多職種連携を強化する重要な鍵となります。

これからも、皆様と共に地域福祉を向上させ、誰もが安心して暮らせる豊中市を築いていけるよう尽力してまいります。

*豊中市介護保険事業者連絡会に関するお問い合わせはこちら

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