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2025.12.13

「通所A型」って何?通所介護との違いと、現場が知っておくべき関わり方

市町村が独自に実施する“緩やかなデイサービス”。利用者や地域との連携で大切な視点とは?

目次

① はじめに

『通所A型ってデイサービスと何が違うの?』

——利用者やご家族からこんな質問を受けたことはありませんか?

介護現場で「通所A型」という言葉を耳にしたことはあっても、制度の位置づけや目的まで正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

一般的に「デイサービス=通所介護」というイメージが強いですが、通所A型は市町村が独自に実施している仕組みであり、地域密着型の“緩やかなデイサービス”として位置づけられています。

本記事では、通所A型の特徴と通所介護との違いを整理しつつ、現場で求められる関わり方や、利用者・地域との連携において大切な視点を考えていきます。

② 通所A型とは?制度の位置づけと目的

通所A型は、介護保険制度の「通所介護」とは異なり、市町村が独自に運営ルールを定めて行う地域支援事業です。要支援者や事業対象者を中心に、比較的軽度な支援を必要とする高齢者が対象です。

目的は主に以下の3点です。

1.介護予防:運動や趣味活動を通じて生活機能の低下を防ぐ。

2.孤立防止:外出の機会を作り、地域住民との交流を促す。

3.地域包括ケアの推進:ボランティアや住民を巻き込み、地域全体で支える仕組みをつくる。

「通所A型」はまさに、“緩やかに人とつながれる居場所”であり、介護度が高くなる前の段階で支援できる点に大きな意義があります。

③ 通所介護との違いを理解する

通所介護と比較すると、通所A型の特徴は以下のように整理できます。

・サービス内容の違い

 通所介護では入浴介助や機能訓練など専門職による支援が中心ですが、通所A型は「体操」「趣味活動」「会食」「交流イベント」などが中心です。専門職のリハビリよりも、住民主体の活動や交流の機会が重視されます。

・運営と人員体制の違い

 通所介護は法的基準に基づき職員配置が義務づけられますが、通所A型ではボランティアや地域団体が運営に関わることも多く、柔軟性があります。

・利用料・時間の違い

 利用料は市町村ごとに低めに設定される傾向があり、短時間利用が可能です。気軽に参加できる“通いの場”として機能します。

つまり、通所介護が「専門職による生活機能の維持・改善」を担うのに対し、通所A型は「地域に根差した支え合いと予防」を目的としているのです。

④ 現場での関わり方と、利用者・地域との連携で大切な視点

通所A型に関わる際、職員や運営者が意識すべきポイントは以下の通りです。

・利用者の主体性を尊重する

“支援する側”と“される側”の関係ではなく、“共に活動する仲間”という姿勢が重要です。本人が役割を持つことが、生活意欲や自立支援につながります。

・交流を生み出す仕掛け

 利用者同士の会話や共同作業を促し、自然なコミュニケーションが生まれるように支援します。孤立を防ぎ、地域での居場所づくりに直結します。

・地域資源との連携

 通所A型はボランティアや自治会、地域団体との協働が特徴です。例えば、地域の住民が講師となる講座を企画したり、地元サークル活動を取り入れることで、参加者の幅を広げることができます。

・通所介護との併用支援

 通所A型を利用する方が、後に通所介護を利用するケースも少なくありません。そのため、双方の事業所が情報を共有し、切れ目のない支援を行うことが大切です。

通所A型は「緩やかなデイサービス」であるがゆえに、地域全体を巻き込んだ柔軟な支援が成功の鍵となります。

⑤ まとめ:通所A型を地域包括ケアの一部として活かす

通所A型は、介護保険サービスだけでは支援しきれない軽度者や地域住民にとって、安心して通える“敷居の低い居場所”です。専門職が主導する通所介護と異なり、住民やボランティアの関与が強みであり、地域の支え合いを実感できる場でもあります。

現場の職員に求められるのは、介助中心の支援ではなく、利用者や地域住民と共に活動をつくり出すファシリテーターとしての役割です。

通所介護と通所A型を対立するものとしてではなく、補完し合うサービスとして理解し、地域包括ケアの一部として柔軟に活用することで、より多様な高齢者の生活を支えることができます。

あなたの施設では、通所A型を“地域とつながる資源”としてどのように活用していきますか?

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