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〒561-0881
豊中市中桜塚2-25-12-205

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「人手不足だから、生産性を上げよう。」
そうした声が介護業界でも頻繁に聞かれるようになりました。
しかし、その言葉が「人を減らして回す」という意味にすり替わると、現場は疲弊し、サービスの質も職員の士気も下がります。
介護における“生産性向上”とは、**「人を減らすこと」ではなく「人が力を発揮できる環境をつくること」**です。
国の政策でも、この考え方が明確に示されています。
厚生労働省は「介護現場の生産性向上推進事業」を通じ、ICT活用・業務改善・科学的介護(LIFE)の導入支援を進めています。
その目的は、現場の負担を減らし、ケアの質と働きやすさを両立させること。
つまり、**“削減”ではなく“再配分”**が国の描く方向性なのです。
介護の生産性を考える際、「効率化」だけに焦点を当てると本質を見失います。
介護は、利用者一人ひとりの生活の質を支える“人の仕事”であり、短時間で成果を数値化できるものではありません。
国の定義する生産性向上とは、「限られた人員でより高い付加価値を生み出すこと」。
ここで言う“付加価値”とは、単なる作業量ではなく、「利用者の満足度」「家族の安心感」「職員が誇りを持って働ける環境」など、介護の質を支えるすべての要素を含みます。
経営としては、“どの仕事を減らすか”ではなく、“どの仕事に時間を使うか”を見極めることが重要です。
報告・記録・共有などの定型業務はICTに委ね、職員が人にしかできない“対話・観察・信頼形成”に集中できる環境を整える。
この再配分こそが「人を守りながら価値を高める」経営のあり方です。
政府は2021年度以降、ICT導入やLIFE提出を報酬加算の対象に位置づけ、全国の事業所に普及を促しています。
これは単なるデジタル化の推奨ではなく、**データに基づく介護の“質と成果の見える化”**を目的としています。
例えば、記録をクラウド共有化することで、夜勤と日勤の情報が即座に連携でき、ヒヤリハットの防止や申し送り時間の短縮につながります。
さらに、LIFEで収集した利用者データを分析することで、「何が成果を生んでいるのか」「どこにリスクがあるのか」を科学的に把握できます。
こうした取り組みにより、現場には“創造的な余白”が生まれます。
削られたのは「記録の二度書き」や「確認の手間」であり、増えたのは「利用者と向き合う時間」。
つまり、ICTとLIFEは“働く人を減らす”ためではなく、“働く時間の質を変える”ための仕組みなのです。
どれほど優れたツールや制度を導入しても、現場が納得していなければ定着しません。
生産性向上の本質は、“仕組み”ではなく“文化”にあります。
経営者がまず意識すべきは、現場主導の改善サイクルを育てること。
たとえば、月に一度「業務見直し会議」を設け、
職員が「減らせる仕事」「改善したい作業」を提案できる場をつくる。
経営がその提案を評価し、実際に仕組みに反映することで、現場に“自分たちで現場を変える実感”が生まれます。
また、改善効果の評価も「時間削減」だけではなく、
・事故やクレームの減少
・職員満足度の向上
・新人定着率の改善
といった複数の指標で行うことが大切です。
このように“成果の多面評価”を続けることで、現場に疲弊ではなく達成感が残ります。
国の資料でも、介護現場の生産性向上の最終目的は「人材確保と定着」と明記されています。
離職が続く限り、採用・教育コストは膨らみ、組織の経験値はリセットされます。
つまり、人を減らすことよりも、“辞めない環境をつくる”ことこそ最大の生産性対策なのです。
ICT導入や業務見直しによって、職員が「無理せず働ける」と感じられる環境を整える。
その安心感が離職を防ぎ、チームの成熟を促し、ケアの質を高めていく。
結果として、利用者満足・紹介採用・経営安定が循環する「成長のスパイラル」が生まれます。
生産性とは、数字だけで測れるものではありません。
それは、「人が安心して働けること」そのものが成果であり、経営の基盤です。
介護の生産性向上は、国の方針においても「人員削減」ではなく「質と働きやすさの両立」を目的としています。
ICT・LIFEの導入、業務の標準化、現場主導の改善文化、そして人材定着。
これらはすべて、“人を活かす経営”を実現するための要素です。
経営者が現場を支え、現場が利用者に集中できる環境を整える。
この循環ができたとき、初めて介護の生産性は真に高まります。
「働く人を守る経営」こそが、介護事業を持続させ、地域に信頼される組織をつくる最も確かな道です。
ICT(Information and Communication Technology)
情報通信技術。介護分野では、記録の電子化、勤怠・スケジュール管理、見守りセンサー、オンライン会議などに活用され、情報共有と業務効率化を支える。
LIFE(科学的介護情報システム)
介護施設・事業所が利用者データを国に提出し、分析・フィードバックを受けることで、エビデンスに基づいたケアの改善を促進する国の仕組み。
