「地域共生社会」とは?実現に向けて介護保険事業者がすべきこと

地域住民が世代や立場を超えてつながり、相互に支え合うことを目指した「地域共生社会」。少子高齢化に伴い、このような「地域における支え合い」の必要性はますます高まっています。
そこで今回は、地域共生社会の実現に向けて、私たち介護保険事業者はどのような形で貢献していけるのかについて考えてみたいと思います。
どうして「地域共生社会」が必要なのか?
地域共生社会とは、住民同士が支え合い、世代や立場を超えてつながりながら、みんなで暮らしやすい地域を作る社会のことです。今までのように「支える人」「支えられる人」と分けるのではなく、お互いに助け合いながら生きることを目指しています。
これまでの社会保障制度は、特定の人や問題に対応する仕組みでした。しかし、現代では一人の人や家庭が複数の問題を抱えることが増え、従来の制度では十分に支えきれなくなっています。さらに、地域のつながりが弱まり、悩みを相談できずに孤立する人も増えています。誰もが病気や介護、生活の困りごとに直面する可能性があり、これは他人事ではありません。
身近な人と人がつながり、お互いに支え合いながら、自分たちが生きやすい地域や社会を自分たちで作っていく姿勢が求められているのです。
地域共生社会が目指す、3つの「超える」視点
では一体、地域共生社会を実現するにはどういったアプローチが必要でしょうか?厚生労働省では、地域共生社会のビジョンとして3つの「超える」視点が示されています。
1. 制度の枠を超える
これまでの福祉制度は「介護」や「保育」といった分野ごとに支援体制が分かれていました。しかし、実際の暮らしは複雑です。例えば、一つの家庭が高齢者の介護と子育ての問題を同時に抱えることもあるでしょう。こうした状況に対応するため、制度や分野ごとの「縦割り」な支援ではなく、各世帯や本人に対して包括的に支援していくことを目指しています
2.「支える側」「支えられる側」の関係を超える
公的な制度では、「支える側」と「支えられる側」とった役割がはっきりと区分されていることが多いですが、日常生活ではこのような固定された関係性はありません。ある場面では助けてもらい、別の場面では誰かを助けることもあるのです。こうした支え合いの循環を生み出すために、「支える側」「支えられる側」といった役割を超えた関係性を目指しています。
3.世代や分野を超える
地域には高齢者や子ども、働き盛りの世代などさまざまな立場の人がいます。だからこそ、高齢者が子どもたちに昔の遊びを教えたり、若者が高齢者にスマホの使い方を教えたりすることで、お互いに助け合うことができます。また、介護や保育の人手不足の問題や空き家や耕作放棄地の問題なども、異なる分野の人々が協力することで解決策や新たな価値を生み出せるかもしれません。こうした世代や分野を超えたつながりを通して、地域の発展や課題解決を目指しています。
参照:「地域共生社会」とは村人Aが主役になる社会である【地域共生社会を考えるvol.1】|厚生労働省note
地域共生社会の実現に向けて、介護保険事業者はなにをすべきか?
最後に、地域共生社会の実現に向けて私たち介護保険事業者はなにをすべきかについて考えてみました。具体的には、以下のような取り組みを通して、住みよい地域づくりに貢献できるのではないでしょうか。
地域の活動を支える
地域でのボランティア活動を支えることを通して、地域の中での「助け合いの輪」を広げることができるでしょう。一緒に地域イベントを企画したり、空き家や空き施設を住民の集いの場として活用したりすることで、地域交流のきっかけを提供できます。
介護や福祉についての学びを広める
地域住民が介護や福祉について理解を深められるように講演会やワークショップをひらくのも良いでしょう。介護に関する正しい知識や情報を知ることで、家族や身近な人が困った時に慌てずに適切にサポートできたり、介護保険事業者に気軽に頼ったりできるようになります。
地域ニーズに応じたサービスを模索する
制度ありきの支援ではなく、地域のニーズにどうやったら応えられるかを模索することが大切です。介護保険事業者同士の連携はもちろん、地域の医療機関や民間事業者、自治体や市民団体などと協力体制を築くことで、地域住民が必要な支援を受けやすくなるでしょう。
このように介護保険事業者が持つ専門知識や豊富なネットワークを活かして、地域住民や地域資源と積極的につながり、関係性を深めていくことが重要です。
豊中市介護保険事業者連絡会としても、介護施設の空き時間を地域のイベントや交流の場として活用する『カイゴとチイキ』プロジェクトを始め、地域と積極的につながっていく姿勢を大切にしていきたいと思います。
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