「終末期ケア」において介護保険事業者に求められる役割とは?

回復が難しい病気を持つ方ができる限り快適に、そして尊厳を持って最期を迎えられるように支える「終末期ケア」。地域包括ケアシステムの構築が求められる現代日本において、終末期ケアについても医療と介護の適切な連携は欠かせません。
*関連記事も併せてチェック:「地域包括ケアシステム」における介護保険事業者の役割とは?
今回は、介護保険事業者としてどのような形で「終末期ケア」に携わり、安心して最期を迎えられる地域を実現していけばよいかについて考えてみました。
「尊厳を守る」ためにはどのような支援が必要か
終末期ケアの中で一番大切なのは、その方の「尊厳」を守ることです。これは、身体の痛みを和らげるだけでなく、心の安定や社会的なつながりを保つことも含まれます。介護保険事業者としては以下のような支援を提供できるでしょう。
個別ケアプランの作成
一人ひとりの価値観や希望に寄り添ったケアプランを立てることは、終末期ケアの基盤となります。例えば、どのような環境で最期を迎えたいか、どのような医療処置を希望するかといった本人の意向を尊重し、家族や医療チームと協力しながら支援計画を作成します。
痛みのケア
終末期において、痛みや苦しみを最小限に抑えることは非常に重要です。医療機関と連携し、薬物療法や緩和ケアを適切に提供することで、身体的な苦痛を緩和し、できる限り快適な生活を送れるように支援します。
メンタル面のサポート
終末期を迎える方の不安や恐怖に対しては心理士やカウンセラーが中心となってメンタルケアを行うことが一般的です。介護保険事業者としても日頃のコミュニケーションのなかでその方の心の負担を軽減できるように傾聴の姿勢を大切にしましょう。
体制づくりや関係構築など包括的なサポートを
介護保険事業者は、医師や看護師、ソーシャルワーカーと連携しながら、終末期にある方とその家族が抱える不安や課題を包括的にサポートしていくことが求められています。具体的には以下のような取り組みが考えられるでしょう。
医療機関との連携
終末期ケアにおいて、医療機関との密な連携は不可欠です。介護保険事業者は医師や看護師と定期的に情報共有を行い、症状や治療の進行状況を把握します。緊急時には迅速な対応が求められるため、連絡体制の整備や情報共有システムの導入も重要です。
実際に、当会の活動拠点である豊中市では、地域包括ケアシステム構築に向けた多職種連携コミュニケーションツール「MCS(Medical Care STATION)」を導入しています。MCSでは一人の患者さんや利用者さん単位で医療介護スタッフが報連相しあうトークグループを作成でき、即座の情報共有や対応履歴の確認が可能です。
地域全体のサポート体制
誰もが安心して最期を迎えられる地域にするためには、医療機関だけでなく自治体や地域ボランティアと協力したり、介護保険事業者間の連携を強化したりといった地域全体での取り組みが必要です。地域包括支援センターを中心に、情報共有や役割分担を明確にし、包括的なケア体制を築いていきましょう。
こちらも豊中市では、先ほど紹介した多職種連携コミュニケーションツール「MCS(Medical Care STATION)」のなかで、豊中市に関連する医療介護職が約1300人参加する「虹ねっとcom」というグループを作成し、医師会を中心に行政と医療機関、介護保険事業所などが連携を図っています。情報交換や研修会といった日常のコミュニケーションだけでなく、感染症や災害等の有事の際の連携手段としても活用されています。
家族へのサポート
終末期にある方を支える家族へのサポートも欠かせません。日頃のコミュニケーションを通して、家族が抱える不安の軽減や困り事の解消に努めましょう。グリーフケア(死別後の支援)も大切な役割となります。
誰もが「尊厳」を持って安心して暮らせる地域をめざして
高齢化が進む中、介護保険事業者の終末期ケアにおける役割はますます重要となるでしょう。医療機関との連携や家族への支援を強化し、高齢者が尊厳を持って最期を迎えられる環境を整えることが求められます。終末期ケアに限らず、誰もが安心して尊厳を持って暮らせる地域をつくれるよう、私たち介護保険事業者が中心となって地域全体で支え合いの輪を広げていきましょう!
豊中市介護保険事業者連絡会では、これからも介護保険事業者が持つ専門知識や地域ネットワーク、介護施設などのリソースを活かした取り組みを進めてまいりますので、一緒に地域福祉をより良くしていきたい!といった事業者様は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
*豊中市介護保険事業者連絡会へのお問い合わせはこちら
おすすめのブログ