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介護の「スムーズなバトンタッチ」を支える:豊中市における入退院・入退所連携の最前線

日本の高齢化が進む中で、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるためには、医療と介護の連携が不可欠です。

特に、高齢者の入退院・入退所時には、医療機関、介護施設、ご家族、そして地域住民まで、多くの関係者が関わるため、円滑な情報共有と密な連携がサービスの質を大きく左右します。 情報伝達が滞ると、入院・入所の長期化、ご本人やご家族の負担増大、さらには介護現場の混乱にもつながりかねません。

そこで当会では、地域全体の支え合いネットワークを構築し、医療・介護連携の強化に力を入れています。今回は、豊中市におけるこの重要な取り組みの最前線と、連携を深めるための課題についてご紹介します。

目次

なぜ円滑な情報連携が重要なのか?

医療と介護の連携強化は、高齢者が必要なサポートを受けやすくし、ご家族の負担軽減につながります。特に終末期ケアにおいては、ご本人の「尊厳」を守るためにも不可欠です。

入退院・入退所の場面では、病状や意向など多岐にわたる詳細な情報伝達が求められます。情報共有が滞ると、スムーズなバトンタッチが困難となり、再入院や現場の混乱を招きかねません。緊急時には、迅速かつ正確な情報伝達が命に関わるため、日頃からの連携体制が極めて重要です。

豊中市における医療・介護連携推進の取り組み

豊中市では、誰もが互いに支え合える「地域包括ケアシステム・豊中モデル」を推進しており、医療と介護の連携をその中核に据えています。

その中核を担うのが、豊中市が導入している多職種連携コミュニケーションツール「MCS(Medical Care STATION)」です。このツール内には、豊中市に関連する約1300人の医療介護職が参加する「虹ねっとcom」というグループが設置されています。そのため、日常的な情報交換や研修会だけでなく、感染症や災害といった有事の際にも活用される、非常に重要な情報共有基盤となっています。

さらに、より円滑な入退院・入退所連携を実現するため、「入退院・入退所連携ワーキンググループ」が定期的に開催されています。

「入退院・入退所連携ワーキンググループ」が果たす役割

「入退院・入退所連携ワーキンググループ」は、豊中市における入退院・入退所の連携強化を目指す専門グループです。医師、病院看護師、ケアマネジャー、消防局など多岐にわたる専門職が参画し、課題解決に取り組んでいます。

本ワーキンググループでは、情報共有シートの内容やルールについて検討を進めています。シートには、ご本人の基本情報、病状、意向(DNAR含む)、ADL、生活状況、施設希望など詳細な項目が含まれ、その記載や伝達ルールについて議論されています。

また、消防局との情報交換に関する報告や、情報伝達の難しさに対する具体的な改善策の検討も行われており、これらの活動を通じて、より標準化され、効率的かつ質の高い情報連携体制の構築を目指しています。消防局からの出前講座や情報連携シミュレーションなどを通じた現場のスキルアップと共通認識の醸成も図られています。

連携上の課題と情報伝達の難しさ

連携強化には課題も存在します。情報伝達不足による病院滞在時間の延長、医師や病院による見解相違、介護職員のコミュニケーション不安、搬送先決定遅延などが挙げられます。

また、救急搬送件数が増加傾向にある中で、救急マニュアルの周知不足、情報提供シートの作成・活用不足、複雑な連絡先ルール、必要な情報だけを選んで入力する難しさも指摘されています。特に夜間対応では、消防局との連絡の取りにくさや、高齢者の身体状況変化・DNAR意向のスタッフ間認識不足も課題です。

誰もが安心して暮らせる地域社会をめざして

入退院・入退所時の医療と介護の連携は、高齢者のQOL向上、ご家族負担軽減、介護サービス体制強化に不可欠です。豊中市では、MCS活用や入退院・入退所連携ワーキンググループの活動を通じて、これらの課題解決を推進しています。連絡会は、介護事業所間のネットワーク強化と医療機関、行政、地域住民との連携を通じ、情報共有の仕組みを洗練させていきます。

介護・医療に関わるすべての皆さまの協力が、「介護のバトンタッチ」をより確実なものにし、誰もが安心して暮らし続けられる地域社会の実現につながります。この取り組みにご理解とご協力をいただき、共に地域の未来を創造していきましょう!

引き続き、豊中市介護保険事業者連絡会をどうぞよろしくお願いいたします。

*豊中市介護保険事業者連絡会に関するお問い合わせはこちら

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