1. TOP
  2. Blog
  3. ブログ記事
  4. 【家族とのコミュニケーション】定期的な家族会や面談の進め方

ブログ・活動アーカイブ

2025.11.07

【家族とのコミュニケーション】定期的な家族会や面談の進め方

職員の負担を増やさず、“つながる仕組み”をどうつくるか

「ご家族と、じっくり話す時間は足りていますか?」

介護の現場では、ご利用者本人だけでなく、ご家族との関係づくりも欠かせません。しかし現実には、日々の業務に追われるなか、家族との面談や連絡が後回しになることもしばしばあります。
「もっと話を聞きたかった」「事前に分かっていればよかった」という声が、トラブルやクレームとして顕在化するケースもあります。

一方で、職員側も「言うべきことが多すぎる」「時間が取れない」という葛藤を抱えています。こうした行き違いの背景には、構造的な課題があるのです。


目次

業界全体に共通する、家族対応の難しさ

コロナ禍を経て、面会制限や感染対策が強化され、家族と施設の関係性は一時的に“遮断”された状態になりました。その結果、ご家族との信頼関係が希薄化し、介護への不安や疑問が増した施設も少なくありません。

面談や家族会は、そうした不安を和らげる重要な手段であるはずですが、現場では以下のような課題が指摘されています。

  • 情報の断片化:「退所時だけ」「トラブル時だけ」伝える“受け身の連絡”
  • 職員の負担:「資料作成や説明に時間がかかる」「相手の反応次第で時間が読めない」
  • 家族の戸惑い:「何を質問すればよいか分からない」「関心はあるが距離がある」

つまり、“つながる仕組み”がないまま、形式的な面談だけが残っているのが実情です。


豊中市の取り組み:家族と“日常”を共有する試み

私たち豊中市介護保険事業者連絡会では、家族会や面談のあり方を見直し、「報告と説明の場」から「自然な対話のきっかけとなる場」へと変えていくための支援や実践交流を重ねています。

◉ 家族が“気になる”きっかけをつくる工夫

市内の一部事業所では、日々の様子を写真やメモで簡単に記録し、面談時に見せるなどの方法が模索されています。職員が説明する前から、家族から「この時はどんな状況だったのですか?」と質問が出てくるような場面もあり、自然な対話の糸口となっています。

◉ 自然な対話が生まれやすい場づくり

あらかじめ話題を設定せず、自由に話しやすい形式で面談を行っている施設もあります。「今日はどんな様子でしたか?」という問いかけから話題が広がるように、あえて構造化しすぎない工夫も取り入れられています。

◉ 継続可能な運営を目指して

家族会の案内や進行に関しては、文書やフォーマットを共有し、業務負担を軽減する工夫もされています。また、特定の職員だけに負担が集中しないよう、職員間で役割分担を行いながら、無理のない範囲で継続的に取り組めるよう配慮されています。

こうした取り組みは、“一方的に伝える”という従来の枠組みから脱却し、家族との信頼関係をより柔軟に築いていくための基盤となっています。


全国で注目される先進事例:ICTで“職員を介さないつながり”を実現

一方、全国ではICTを活用し、職員の手間を増やさずに家族と利用者がつながる仕組みの導入が進んでいます。以下は代表的な例です。

◉ 自動映像共有型の見守り支援(例:豊橋市・HitomeQ)

  • 天井カメラが捉えた日常の動きをAIが自動整理。特定の場面だけを家族に動画・写真で共有。
  • 説明の時間や手間が省かれ、家族の安心感も向上。

◉ 家族用通話タブレットの常設(例:一部特養施設)

  • 通所リビングに家族専用端末を設置し、職員の操作支援なしでも利用者と家族が直接会話。
  • 面談以外のコミュニケーションが増え、家族の関心が高まる。

◉ クラウド型日誌コメント共有(例:MCS、カナミック)

  • 職員が通常の介護記録を入力するだけで、家族はアプリから確認・コメントが可能。
  • 質問や相談事項を事前に可視化できるため、面談の効率化にも貢献。

家族の姿勢の変化と、面談の新しいかたち

こうした仕組みによって、家族の関心や関わり方も大きく変化しています。

  • 映像を見てから面談に臨むことで、「あの時の動き、すごく活発でしたね」と具体的な話題が出る
  • 普段の様子を知っているからこそ、「○○のリハビリ、どんな効果がありましたか?」といった前向きな質問が自然に出る
  • 利用者とのタブレット通話をきっかけに、「本人がこの間こんなことを言っていて…」と家族からの発信が増える

これにより、面談は「報告する場」ではなく、“ともに支援を考える場”へと変化してきています。


おわりに

介護現場での家族対応は、もはや個々の職員のがんばりで成り立つものではありません。
仕組みやツールをうまく活用し、「会う」「話す」「知る」機会を日常に組み込むこと――それが、これからの介護における家族とのコミュニケーションの基盤です。

私たちはこれからも、“伝える”を越えた“つながる”介護を目指し、現場からできる取り組みを続けていきます。

リアルハブイベントを主催し、豊中を⁨⁩一緒に盛り上げてくださる方を募集しています。過去に開催されたイベントなど気になる方はこちらをチェック!

目次