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2026.02.25

介護施設で起きやすい事故と防ぎ方

事故は“人のせい”ではなく“環境の問題”

介護施設で起こる事故の多くは、職員が「もっと見ていれば…」「声をかけていれば…」と自責してしまうことが少なくありません。しかし現実には、事故は“個人のミス”よりも“環境・仕組みの問題”から生まれるケースが大半です。
特に多いのは 転倒誤嚥(ごえん)。どちらも起こる場所や時間帯に一定の傾向があり、事前に「事故のクセ」をつかむことで予防の精度が一気に高まります。

転倒が起きやすい場所の共通点

転倒事故には、実は“よく転ぶ人”よりも“よく転びやすい場所”があります。

  • 居室からトイレへ向かう導線
  • ベッドの乗り降り
  • 食堂から立ち上がって歩き始めるタイミング
  • 段差や床材の変わり目(畳→フローリングなど)

共通しているのは 「姿勢が変わる瞬間」「集中力が途切れやすい動線」
特に夜間や早朝のトイレ移動は、足元がふらつきやすく、職員の観察も届きにくいため最も転倒が多いポイントです。

誤嚥が起きる時間帯の傾向

誤嚥が多いのは 食事の前半と後半 です。

  • 前半:食欲が強く、噛む前に飲み込んでしまう
  • 後半:疲れが出て咀嚼が弱くなる

また、食事開始直後は職員が他の利用者への配膳対応で忙しく、後半は“見守りの手薄さ”も誤嚥につながる原因です。


目次

実例から学ぶ予防の視点

事故は「利用者さんの動作のクセ」に目を向けると、予防がぐっと現実的になります。

動作のクセをどう読み取るか

職員がよく気づく“危険なクセ”には、以下のようなものがあります。

  • 歩行器を持ち上げて歩いてしまう
  • 手すりを使わず、家具に頼って移動する
  • 椅子から立つとき、勢いで立ち上がる
  • 食事中に早食い・まとめ食いが多い
  • 口に食べ物を入れたまま話すクセがある

こうしたクセは、その人にとって“普段の動作”になっているため、注意だけでは改善しません。
動線の工夫・椅子の高さ調整・食事ペースをゆっくりにする環境づくり といった「物理的・環境的なアプローチ」が効果的です。

声かけのタイミングを整える

事故は「あと1秒早ければ防げた」という瞬間が多いもの。
声かけのタイミングを意識するだけでも、事故率は大きく下がります。

  • 立ち上がりの瞬間に「ゆっくりで大丈夫ですよ」
  • 食事開始時に「一口ずつゆっくり食べましょうね」
  • 夜間のトイレ誘導では「足元明るくしますね」
  • 水分摂取のあとに「むせてないですか?」と確認

声かけは単なるコミュニケーションではなく、
利用者の注意力を高め、行動を安全モードに切り替える“スイッチ” の役割を果たします。


事業所全体で取り組む安全対策

事故は職員個人の技量ではなく、チームとして仕組みに落とし込むことで初めて減らすことができます。

リスクカンファレンスで“ヒヤリ”を共有

介護現場には「ヒヤリ・ハット」が日々起こっています。
ヒヤリは“事故未満”なので軽く扱われがちですが、実は最も価値のある情報です。

  • どこでつまずきかけたか
  • 食事中のどのタイミングでむせたか
  • どんな動作で注意が必要だったか
  • どの時間帯に手薄さが出たか

これらをリスクカンファレンスで共有することで、
「個人の経験」→「チームの知識」→「施設全体の安全」 へと転換できます。

リスクを共有すると、事故は“個人の責任”ではなく“チームで改善できる課題”と捉えられるようになり、職員の心理的安全性も向上します。

職員教育の重要性と“継続型研修”

安全対策は、研修を一度実施しただけでは定着しません。
事故の多くは「慣れ」「思い込み」「忙しさ」から起こるため、継続的な学びが欠かせません。

  • 転倒リスクの高い動作を動画で確認する
  • 誤嚥しやすい食形態・姿勢を理解する
  • 看護・介護の観点から“むせの前兆”を学ぶ
  • 新人とベテランで視点の違いを共有する

特に効果が高いのは、実際の施設内でのシミュレーション研修
「ここで立ち上がる利用者さんが多い」「ここが死角になる」など、
現場に合わせた学びは事故予防に直結します。


まとめ

介護施設で起きる事故は、決して「注意不足」だけではありません。
“人の動作のクセ”と“環境のクセ”が重なった瞬間に起こるものです。

  • 転倒・誤嚥は起こる場所や時間帯に法則がある
  • クセを読み取れば予防策が見える
  • 声かけのタイミングも大きな安全スイッチ
  • チームで情報共有するほど事故は減っていく

事故ゼロは理想ですが、現場の努力だけで完全に防ぐことは難しい現実があります。
だからこそ、事故を個人のせいにしない文化チームで改善する仕組み が、
安全で安心できる介護をつくる土台になります。

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